コラム・現場だより
現場だより

バリアフリーの時代

「こちらの会場はバリアフリーなので(きゅりあん)ルートとエレベーターの位置を調べて きました。」オリエンテーションの時に少し高揚しておっしゃった最初のことばです。

先日の公開セミナーに いらした I さんのことを少し書かせていただきます。
かなりいろいろなところがご不自由のようでした。
耳も左は良くきこえないと おっしゃっていました。
それでも働いて 働きつづけて 皆の役に確実にたっていらっしゃいます。
来客応対もなさるのです。電話もとっています。受講感想文の字はとてもしっかりと 美しいです。 

先天性の重い障害だったそうで 10歳まで 自宅ではいはいで過ごし、 学校にいくことを切望されていたそうです。その後に医術の発達とともに手術を何回もうけて 11歳から小学校に行かれるようになって 家族に支えられて高校を卒業されています。

家族に支えながらと今にありますとおっしゃっていましたが その彼が松葉杖で片道1時間半もかかる 東京のラッシュアワーを乗り越えて エレベーターのある乗り換え駅、エレベーターの位置などを調べて 一人で私のセミナー会場に足をはこびました。

私は大変感動をおぼえました。

@ Iさんが多くの手術を受けて 健常者とともに生きることを選ばれた勇気
Aその勇気を実際に私達に見せてくださること。
B彼をここまで支えている家族のこと、職場で暖かく見守る人々がいることなど
C現代技術をおそれずに自分に取り込み自分を進化させ社会に共存させこころがけ。
D彼のこころの健全性をいたるところでみせてくれたこと。

それらのことは私を遅ればせながらも 確実にあらたな課題に導いています。 それから 使用しているすべての会場にチェックを入れるようになりました。(バリアフリーかどうか) 障害をかかえながら I さんの真摯に講座に取り組む様子が 私に訴えます。そして  I さんを支えてくださった 職場の方 クラスの方、ありがとうございました。 Iさんの感想文から 抜粋 ゆっくりですが 出来るまで何回も何回も繰り返して行います。

関口 泰子